インサイドセールスで実現する営業コスト削減!訪問ゼロでも成果を出す新常識
- seira1001
- 9月3日
- 読了時間: 16分

「営業コストを削減したいが、具体的な方法がわからない」とお悩みの方へ。その解決策は「インサイドセールス」の導入にあります。本記事を読めば、交通費や移動時間といった無駄なコストを削減し、営業プロセスを効率化する具体的な手法がわかります。コスト削減以上のメリットや、成功に不可欠なKPI設定・ツール活用といった3つのポイントも解説。訪問に頼らず成果を出すための新常識を学びましょう。
1. なぜ今多くの企業で営業コストの削減が課題なのか
市場の成熟化や競争の激化が進む現代において、多くの企業が利益を確保するために「営業コストの削減」という課題に直面しています。単に経費を切り詰めるだけでなく、営業活動そのものの在り方を見直し、より生産性の高い組織へと変革することが求められています。なぜ今、これほどまでに営業コストの最適化が重要視されているのでしょうか。その背景には、従来の営業スタイルが抱える構造的な問題と、社会全体の大きな変化があります。
1.1 従来の訪問営業が抱えるコスト構造の問題
これまで日本の営業スタイルの主流であった「訪問営業(フィールドセールス)」は、顧客と直接顔を合わせることで信頼関係を築きやすいというメリットがある一方、多くのコストを内包しています。これらのコストは、目に見える直接的なものから、見過ごされがちな間接的なものまで多岐にわたります。
特に問題となるのが、移動時間などの間接コストです。例えば、1日に2件の商談のために合計3時間の移動が発生した場合、その3時間は本来であれば他の顧客へのアプローチや提案準備に充てられたはずの時間です。こうした機会損失を含めると、訪問営業が抱えるコストは想定以上に大きいと言えるでしょう。
1.2 働き方の多様化と営業DXの必要性
従来の営業モデルが限界を迎えつつあるもう一つの要因が、社会全体の大きな変化です。働き方改革の推進や新型コロナウイルス感染症の影響により、リモートワークやテレワークが急速に普及しました。これにより、顧客側もオフィスに常駐しているとは限らなくなり、従来のような「とりあえず訪問する」という営業スタイルが通用しにくくなっています。
このような状況下で注目されているのが、営業DX(デジタルトランスフォーメーション)です。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)、オンライン商談ツールといったテクノロジーを活用し、営業プロセス全体を効率化する動きが加速しています。デジタル技術を前提とした新しい営業モデルを構築することは、もはや単なるコスト削減策ではなく、変化する市場環境で生き残るための必須条件となりつつあるのです。
2. 営業コスト削減の鍵となるインサイドセールスとは

営業コストの削減を目指す上で、今や欠かせない存在となっているのが「インサイドセールス」です。インサイドセールスとは、電話やメール、Web会議システムなどを活用し、社内から非対面で見込み顧客へのアプローチを行う営業手法を指します。従来の訪問営業(フィールドセールス)とは異なり、移動時間や交通費を発生させることなく、効率的に営業活動を進められるため、多くの企業で導入が進んでいます。単なるテレアポとは一線を画し、データに基づいた戦略的なアプローチで成果を最大化する、新しい時代の営業スタイルです。
2.1 インサイドセールスの基本的な役割と業務内容
インサイドセールスの主な役割は、マーケティング部門が集めた見込み顧客(リード)に対してアプローチし、関係性を構築しながら購買意欲を高め、質の高い商談機会を創出してフィールドセールスに引き渡すことです。このプロセスは「リードナーチャリング(顧客育成)」とも呼ばれます。
具体的な業務内容は多岐にわたります。
マーケティング部門から提供されたリードへの電話やメールでのアプローチ
顧客の課題やニーズをヒアリングし、潜在的な課題を明確化する
SFA/CRMなどのツールを用いて顧客情報や活動履歴を記録・管理する
見込み顧客の検討状況に合わせて、有益な情報(資料、導入事例、セミナー案内など)を継続的に提供する
オンライン商談ツールを用いた製品・サービスのデモンストレーション
商談化の確度が高まった顧客をフィールドセールスへトスアップする
これらの活動を通じて、営業プロセス全体を効率化し、成約率の向上に貢献します。
2.2 フィールドセールスとの違いと連携の重要性
インサイドセールスとフィールドセールスは、それぞれ異なる役割を担っています。両者の違いを理解し、強みを活かし合うことで、組織全体の営業力は飛躍的に向上します。主な違いは以下の通りです。
このように、両者は担当する領域が明確に分かれています。重要なのは、これらを対立するものと捉えるのではなく、一連の営業プロセスを担うチームとして緊密に連携することです。インサイドセールスが創出した質の高い商談をフィールドセールスが確実に成約に繋げるというスムーズな連携体制を築くことが、営業コストを削減し、売上を最大化するための鍵となります。
2.3 The Modelに見るインサイドセールスの位置づけ
インサイドセールスの重要性を理解する上で欠かせないのが、「The Model(ザ・モデル)」という営業プロセスモデルです。これは、セールスフォース・ジャパン社が提唱し、多くの企業で採用されている考え方で、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4つの部門に分業化する体制を指します。
このモデルにおいて、インサイドセールスは、マーケティング部門が見つけてきた見込み顧客(リード)を受け取り、育成して商談化させ、フィールドセールス部門に引き渡すという、マーケティングと営業の架け橋となる極めて重要な役割を担います。各部門がそれぞれのKPI(重要業績評価指標)を追いかけることで、専門性が高まり、プロセス全体の情報がデータとして可視化されます。これにより、ボトルネックの発見や改善が容易になり、組織全体の営業活動が効率化され、結果として営業コストの最適化に繋がるのです。
3. インサイドセールスで削減できる具体的な営業コスト

インサイドセールスを導入することで、従来の訪問営業(フィールドセールス)で常態化していた様々なコストを劇的に削減できます。目に見える経費だけでなく、これまで見過ごされがちだった「見えないコスト」にもメスを入れることが可能です。ここでは、インサイドセールスによって具体的にどのようなコストが削減できるのかを3つの側面に分けて解説します。
3.1 交通費や出張費などの直接的な経費削減
インサイドセールスがもたらす最も直接的で分かりやすい効果は、営業担当者の移動に伴う経費の削減です。オフィス内での活動が基本となるため、これまで営業活動に不可欠だと考えられていた以下のような費用が不要になります。
電車代、バス代、タクシー代などの日々の交通費
自家用車や社用車利用時のガソリン代、高速道路料金、駐車場代
遠方の顧客を訪問するための新幹線代や飛行機代
出張に伴う宿泊費や日当
訪問時に持参する手土産代や、一部の接待交際費
これらの経費は、一件一件は少額でも、営業担当者の数や訪問件数に比例して積み重なり、企業経営を圧迫する大きな負担となります。インサイドセールスは、こうした訪問活動に付随する直接的な経費を根本から削減し、利益率の改善に大きく貢献します。
3.2 移動時間という見えない人件費コストの削減
営業コストを考える上で見落とされがちなのが、「移動時間」という見えない人件費です。顧客先への移動時間は、たとえ商談をしていなくても給与が発生している労働時間です。この非生産的な時間を削減できることは、インサイドセールスの大きな利点です。
例えば、1日に2件の訪問で合計3時間の移動時間が発生していたとします。インサイドセールスであれば、この3時間をそのまま商談や見込み客へのアプローチ、提案資料の作成といったコア業務に充てることができます。移動時間をコア業務に転換することで、営業担当者一人ひとりの生産性が劇的に向上し、より少ないリソースで高い成果を上げることが可能になります。
以下の表は、同じ労働時間でも活動内容にどれだけの差が生まれるかを示した一例です。
このように、移動時間をなくすことで、営業活動の密度が格段に高まります。結果として、残業代の削減や人件費の最適化にもつながるのです。
3.3 営業プロセスの効率化による採用・教育コストの削減
インサイドセールスの導入は、採用や教育といった長期的なコストの削減にも効果を発揮します。営業プロセスが標準化・効率化されることで、組織全体のコスト構造が改善されます。
採用面では、勤務地を問わないリモートでの採用が可能になるため、より広範囲から優秀な人材を確保しやすくなります。また、トークスクリプトやFAQを整備することで、営業未経験者でも早期に戦力化しやすく、採用のハードルを下げることができます。
教育面では、SFA/CRMツールに蓄積された活動データやオンライン商談の録画記録が、最高の教材となります。トップセールスの成功事例を分析・共有したり、個々の営業担当者の活動をデータに基づいて具体的に指導したりすることが容易になるため、OJTの質が向上し、教育期間を大幅に短縮できます。これにより、教育担当者の負担が軽減されるだけでなく、新人の早期離職を防ぎ、再採用や再教育にかかるコストを抑制する効果も期待できます。
4. 営業コスト削減だけではないインサイドセールスのメリット

インサイドセールスの導入は、交通費や人件費といった直接的なコスト削減に留まらず、企業の営業活動そのものを変革し、中長期的な成長基盤を築くための多くのメリットをもたらします。ここでは、コスト削減以外の3つの重要なメリットについて詳しく解説します。
4.1 営業活動のデータ化と科学的なアプローチの実現
従来の訪問営業では、商談内容や顧客の反応といった情報が個々の営業担当者の記憶や手帳の中に留まりがちで、組織としての資産になりにくいという課題がありました。いわゆる「勘・経験・度胸」に頼った営業スタイルから脱却できない一因です。
しかし、インサイドセールスはSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)といったツールとの連携を前提としています。これにより、顧客とのすべてのやり取り(電話、メール、オンライン商談など)がデータとして蓄積されます。蓄積されたデータを分析することで、成約率の高いトークスクリプトの傾向や、失注しやすい顧客セグメントなどを客観的に把握できるようになります。データに基づいたPDCAサイクルを回すことで、営業活動はより科学的かつ戦略的なものへと進化し、成果の再現性を高めることが可能です。
4.2 属人化の解消と組織全体の営業力強化
特定の優秀な営業担当者(エース)の個人的なスキルに依存する組織は、その担当者が異動や退職をした際に、売上が大きく落ち込むリスクを常に抱えています。これが営業活動における「属人化」の問題です。
インサイドセールスは、この属人化を解消する強力な一手となります。成功したアプローチ方法や効果的なヒアリング項目、顧客の心を動かしたメール文面などがデータとして共有・蓄積されるため、それらが組織全体のノウハウとなります。成果の出る型(フレームワーク)を共有することで、新人や経験の浅いメンバーでも早期に戦力化でき、チーム全体の営業力の底上げが実現します。結果として、誰が担当しても一定水準以上の成果を出せる、強い営業組織を構築することに繋がります。
4.3 顧客満足度の向上とLTVの最大化
「内勤営業」と聞くと、顧客との関係性が希薄になるのではないかと懸念されるかもしれません。しかし、実際はその逆の効果が期待できます。インサイドセールスは移動時間がないため、その分を顧客とのコミュニケーションに充てることができます。
電話やメール、Web会議ツールなどを活用し、顧客が抱える課題や疑問に対して、これまで以上に迅速かつ適切なタイミングでフォローすることが可能になります。こまめな接触は顧客との信頼関係を深め、満足度の向上に直結します。そして、満足度の高い顧客は、製品やサービスを長期的に利用してくれるだけでなく、追加の契約(アップセル)や関連製品の購入(クロスセル)にも繋がりやすくなります。これは、顧客一人ひとりが生涯にわたってもたらす利益であるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化に大きく貢献します。
5. インサイドセールスによる営業コスト削減を成功させる3つのポイント

インサイドセールスを導入し、営業コストの削減を成功させるためには、単に内勤営業に切り替えるだけでは不十分です。成果を最大化するには、戦略的なアプローチが不可欠です。ここでは、コスト削減を確実に実現するための3つの重要なポイントを解説します。
5.1 明確なKPI設定と効果測定の仕組みづくり
インサイドセールスの活動を正しく評価し、継続的に改善していくためには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が欠かせません。目的が曖昧なままでは、活動が非効率になり、コスト削減どころか新たな無駄を生む原因にもなりかねません。
設定すべきKPIには、活動の「量」と「質」の両面からアプローチすることが重要です。具体的には、以下のような指標が挙げられます。
活動量に関するKPI:架電数、メール送信数、担当者との接続数、アポイント獲得数など
質に関するKPI:有効商談化率(SQL化率)、案件化率、受注率、受注単価など
単にアポイントの数を追うだけでなく、その後の受注に繋がる質の高い商談をどれだけ創出できたかを測る指標を重視することが、最終的な営業コスト削減成功の鍵となります。これらのKPIを定期的にモニタリングし、ボトルネックを特定して改善策を講じるPDCAサイクルを回す仕組みを構築しましょう。
5.2 SFAやCRMなど適切なツールの選定と活用
インサイドセールスの効率と質を飛躍的に向上させるのが、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)といったITツールです。これらのツールを活用することで、顧客情報や商談履歴を一元管理し、属人化しがちな営業ノウハウを組織の資産として蓄積できます。
ツールは導入がゴールではなく、自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズし、メンバー全員が活用してこそ真価を発揮します。目的や組織の規模に合わせて、最適なツールを選定し、定着させるための運用ルールを設けることが不可欠です。
5.2.1 営業支援に役立つ代表的なSFA/CRMツール
日本国内で多くの企業に導入されている代表的なSFA/CRMツールには、それぞれ特徴があります。自社の課題解決に最も適したツールを選びましょう。
5.2.2 商談の質を高めるオンライン商談ツール
非対面でのコミュニケーションを円滑にし、商談の質を高めるためにはオンライン商談ツールが必須です。単なるビデオ通話機能だけでなく、営業活動に特化した機能を活用することで、訪問営業以上の成果を目指せます。
画面共有・資料共有機能:パワーポイントやPDFなどの資料をリアルタイムで共有し、視覚的に分かりやすい提案が可能になります。
録画・録音機能:商談内容を録画することで、上司からのフィードバックや新人教育の教材として活用でき、教育コストの削減にも繋がります。
トークスクリプト表示機能:画面上に話すべき内容のスクリプトを表示できるツールもあり、営業担当者のスキル平準化に貢献します。
代表的なツールとしては、「Zoom」や「Google Meet」のほか、営業特化型の「bellFace」などがあります。
5.3 組織内での情報共有と連携体制の構築
インサイドセールスは、単独で完結する部門ではありません。見込み客を獲得するマーケティング部門、具体的な商談を進めるフィールドセールス部門、そして契約後の顧客をフォローするカスタマーサクセス部門との密な連携が成果を左右します。
特に重要なのが、フィールドセールスとの連携です。インサイドセールスが獲得したアポイントの質について、フィールドセールスから定期的にフィードバックをもらう仕組みを作りましょう。どのような情報があれば商談を進めやすいか、どのような状態の顧客が受注に繋がりやすいかといった情報を共有することで、インサイドセールスはより精度の高いアプローチが可能になります。
各部門が持つ情報をサイロ化させず、SFA/CRMをハブとして顧客情報を一元管理し、組織全体で最適なアプローチを行う体制を構築することが、営業プロセス全体の効率化とコスト削減に直結します。
6. まとめ
本記事では、営業コストの削減を実現する有効な手段としてインサイドセールスを解説しました。インサイドセールスは、交通費や移動時間といった直接的・間接的なコストを削減するだけでなく、営業活動のデータ化を通じて組織全体の生産性を向上させます。成功の鍵は、明確なKPI設定、SFA/CRMといったツールの活用、そして部門間の連携体制の構築です。この記事を参考に、貴社の営業体制を見直し、競争力を高める一手としてインサイドセールスの導入をぜひご検討ください。


コメント